Humanity

有意義な人生

彼には時間があった。その両手に持て余すほどの時間があった。頭で数を数えても数えきれない程の時間があった。そんな彼も、はじめはその時間を有意義に過ごそうと思った。これだけの時間があれば、なんだってできると思った。宇宙さえ作れそうな気がした。生物さえ作れそうな気がした。人さえ創造できるとも思った。文明を作ることさえできると思った。しかし、いつのまにかその目標さえ見失っていた。いつかやれば良いと思った。いつかやればいつかできる気がした。もし神様が無限の生命を持つなら、7日でこの世界を作ったというのは嘘だと思った。そんなことを考えていると、今日が終わった。今日という定義さえ終わっていなかった。

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